アレルギー検査とは
当院のアレルギー検査の方針について
近年のアレルギー検査は血液検査が主流であり、その中でも、吸入抗原(ダニ、花粉)と食物抗原(食べ物)の「定められた多数の抗原」を一度に調べられるVIEW39(普通の血管穿刺による採血)とドロップスクリーン(指先を傷つけて採取した少量の血液からの採血)の2つが盛んに行われています。
VIEW39では39項目、ドロップスクリーンでは41項目が調べられます。これらの項目はそれぞれ検査の項目が決まっており、規定の検査結果がすべて出てきます。
VIEW39の検査結果は採血して1週間後に、ドロップスクリーンの検査結果は採血して30分後に判明します。特にドロップスクリーンはその手軽さと結果判明時間の圧倒的な早さから時代の寵児のようにもてはやされています。
ここで注意すべきは血液検査によるアレルギー検査においては、吸入抗原(ダニ、花粉)においては正解率がかなり高い一方、食物抗原(食べ物)については正解率が低いということです。すなわち、VIEW39、ドロップスクリーンのいずれにおいても吸入性抗原の結果はほぼ信用できるが、食物抗原の結果の信頼性は低いということです。しかも希望していない検査結果もいっしょに出てくるのです。
食べ物アレルギーの検査は、いつも平気で食べている食物が血液検査で陽性が出ることも珍しくなく、VIEW39やドロップスクリーンでたまたま陽性に出てくると、本当はこの食べ物にアレルギーであったと思い込んでしまって、本当はアレルギーでもない食べ物を食べなくなってしまう事案が発生しています。食べ物アレルギー検査においては血液検査が陽性であっても食物アレルギーではないということはよくあるのです。
食べ物アレルギー検査は、
- オープンテスト
- プリックテスト
- Prick to prickテスト
- スクラッチテスト
- 皮内テスト
を順次施行するか、あるいは
- 食物経口負荷試験
をしないと本当のことはわかりません。したがって、アレルギーを専門とする小児科、特にアレルギー患者を専門に入院させている病院においては食べ物アレルギー検査の項目に血液検査は入っていません。
上記の理由に加え、「当院はアトピー性皮膚炎は専門とせず、アレルギー鼻炎を専門にする耳鼻咽喉科であること」から、アレルギー検査は吸入抗原(ダニ、花粉)のみに絞っています。
普通に血管が出る患者さんには一般の血液検査を施行し、小児など血管が出ない患者さんには、指先の少量の血液から検査できるイムノキャップラピッドで8項目(イヌ、ネコ、ヤケヒョウダニ、シラカンバ、スギ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ)を調べます。
また、イムノキャップは採血して20分後に結果が判明します。この結果をもとにダニやスギの舌下免疫療法を施行することも可能です。

